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Research

進行中のプロジェクト

現在、研究室で進行中の研究です。

Turingの反応拡散モデルについて

このプロジェクトでは、生物の皮膚模様ができる原理の解明を目指しています。

 生物の皮膚模様は、様々な種類がありますが、それらのほとんどを発生させる数式があるのをご存知でしょうか?

 その理論は、Turingの反応拡散原理と呼ばれています。Turingは、化学反応がうまく組み合わさると、場に波(等間隔のパターン)を発生させる可能性がある、事を予言しました.。

​ シミュレーションで、模様と似たパターンが作れても、実際に「波」が皮膚に発生していることを想像するのは、かなり難しいことです。しかし、以下のような、我々がこれまで行った実験により、Turingの予測とほぼ同じことが動物の皮膚で起きていることは確実です。

研究は、

①模様の動的な性質(動き)を観察して、Turing理論との一致を証明

②Turing波を作る細胞間相互作用の同定

③相互作用の基礎となる分子メカニズムの同定

の順に進めています。①、②はほぼ終了し、現在③の研究を進めています。

これまでの研究の流れ

A reaction-diffusion wave on the skin of the marine angelfish Pomacanthus

Kondo S, Arai RNature  1995;376, 765 - 768

縞模様が、Turing波としての動的な性質(動く)ことを初めて発見した論文です。

当研究室の研究はここから始まりました。

モデル生物のゼブラフィッシュの模様もTuringのシミュレーションの予測のとおりに動きます。

この事実は、ゼブラフィッシュを使って、形成がおきる分子メカニズムを解明することができることを意味しています。

Pattern regulation in the stripe of zebrafish suggests an underlying dynamic and autonomous mechanism

Yamaguchi M, Yoshimoto E, Kondo S. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Mar 20;104(12):4790-3. Epub 2007 Mar 12.​

模様は、2種類の色素細胞間の相互作用で作られることがわかっています。

レーザーを使って一部の色素細胞を消去し、その再生に周囲の色素細胞がどのような影響を与えるかを調べると、色素細胞間の相互作用を推定することができます。

Interactions between zebrafish pigment cells responsible for the generation of Turing patterns.
Nakamasu A, Takahashi G, Kanbe A, Kondo S. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 May 26;106(21):8429-34. 

模様が変化する遺伝子を2つクローニングしました。

いよいよここから、分子レベルの解析が始まります。

Pigment pattern in jaguar/obelix zebrafish is caused by a Kir7.1 mutation: implications for the regulation of melanosome movement.

Iwashita M, Watanabe M, Ishii M, Chen T, Johnson SL, Kurachi Y, Okada N, Kondo S.
PLoS Genet. 2006 Nov 24;2(11):e197.

 

Spot pattern of leopard Danio is caused by the mutation in the zebrafish connexin41.8 gene.

Watanabe M, Iwashita M, Ishii M, Kurachi Y, Kawakami A, Kondo S, Okada N.
EMBO Rep. 2006 Sep;7(9):893-7. Epub 2006 Jul 14.

ゼブラフィッシュの色素細胞間の相互作用のイメージングに成功しました。

Pigment pattern formation by contact-dependent depolarization.

Inaba M, Yamanaka H, Kondo S. Science. 2012 Feb 10;335(6069):677.

色素細胞間の相互作用が、分子の拡散ではなく、細胞突起による直接刺激で起きていることを発見しました。

突起には2種類の長さがあり、それが、反応拡散原理の拡散の効果をミミックしていることが解りました。

Involvement of Delta/Notch signaling in zebrafish adult pigment stripe patterning.

Hamada H, Watanabe M, Lau HE, Nishida T, Hasegawa T, Parichy DM, Kondo S.
Development. 2014 Jan;141(2):318-24.

ギャップジャンクションを作るCX418遺伝子は、斑点模様を作るleopard変異の原因遺伝子です。この遺伝子に活性を変化させていくと、動物の皮膚に存在するあらゆる模様ができてしまいます。

Changing clothes easily: connexin41.8 regulates skin pattern variation.

Watanabe M, Kondo S.
Pigment Cell Melanoma Res. 2012 Feb 7. doi: 10.1111/j.1755-148X.2012.00984.x.

Developmentに掲載された臼居研究員の最新の論文です。色素細胞間の相互作用を行うギャップジャンクションの働きを解析し、その、最小ネットワークを突き止めました。

The minimal gap-junction network among melanophores and xanthophores required for stripe pattern formation in zebrafish

Yuu Usui, Toshihiro Aramaki, Shigeru Kondo, Masakatsu Watanabe

Development 2019 146

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