問題
斑点模様の魚と網目模様(斑点の逆転したパターン)の魚の間に生まれた雑種は、その中間の模様になります。ではその「中間の模様」とは、どんな模様でしょうか?
ヒント:連続的な変化で、斑点から網目に移行するような道筋を考えてください。その中間点が答えです。
答え
実際に、下図のような組み合わせで掛け合わせると、迷路模様の雑種ができます。
また、この結果は、「斑点x網目」の掛け合わせの多くで再現できることが解っています。研究論文はここです。
直感的な解説
明るい部分、暗い部分の面積をA、Bとすると
斑点:A<B
網目:A>B
です。
中間の模様はA=Bとなるはず。
斑点から網目に近づけていくために、暗い部分の面積を大きくしていくと、その過程で、隣の斑点とつながって、暗い色の線ができていきます。
逆に、網目から斑点に近づけていくには、明るい部分の面積が大きくしていく必要がありますが、その過程で、隣の斑点とつながって、明るい色の線ができていきます。
ちょうど中間では、平面全体が、明るい色と暗い色の線で埋め尽くされ、縞(方向性のない縞=迷路模様)になります。
できた縞(迷路)模様がA=Bであることを確認してください。
少し物理的な説明
生物の模様は、複数の色素細胞が互いに干渉しあって生まれる「波」であることが証明されており、細胞間の相互作用を表現する数式で表現することが可能です。もっと大雑把に言うと、模様は「波の一種」なのです。ですから、その性質は、波としての物理的な法則に従います。
2次元で斑点を作るような数式は、1次元では①のような波を作ります。ピークの面積がボトムと比べて小さいことを確認してください。
一方、2次元で網目を作る数式は、1次元では③のような波を作ります。今度は、ピークの面積がボトムと比べて大きいことが解ります。
①の波を作る数式と③の波を作る数式を足して2で割れば、②のようなピークとボトムの面積が同じで、形状も対称な、サインカーブのような波ができます。これは、直感的にイメージできると思います。
2次元では、ピークとボトムが「同じ面積」かつ「同じ形状」の等間隔模様になるはずであり、それは、縞模様以外ありえません。
もっと丁寧な説明が読みたい方は、模様形成の仕組みに関する一般向けの解説がこちらにあります。(誰にでも、読みやすいように書いてあります)
この研究は、阪大生命機能研究科の私(近藤)の研究室に所属する宮沢助教によるものです。論文は、こちらを参照してください。
研究室の研究内容の詳細に関しては、上のリンクよりご覧ください。
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